ハイドロバレー計画ガイドブック 概要

 経済産業省資源エネルギー庁が推進するハイドロバレー計画、その関連調査は新エネルギー財団が行っており、同計画に沿ったプロジェクトには補助金が支給されるらしい。


 しかし市町村レベルの地方公共団体が水力利用を企画して運用するには知識と経験がまだ足りない。そこで資源エネルギー庁と新エネルギー財団が全国的な水力利用を促進するために用意したガイドブックが「ハイドロバレー計画ガイドブック」である。


 小水力利用への理解を深めるためにこの「ハイドロバレー計画ガイドブック」の内容を順次まとめてゆくことにする。


 今回は「1.概要」である。本文は下に引用しておく。




1.概要


□目的


 水力発電は、二酸化炭素(CO2)を排出しないクリーンな自然エネルギーであり積極的な開発が求められるが、国民の必要性の理解不足等から円滑に進展していない。


 脱化石燃料を果たすために分散型エネルギーである新エネルギーの導入を促進する必要があるが、これらは地域特性を十分に考慮して進めることが重要であり、その意味で地方公共団体(市町村等)の果たす役割が大きく、地元主導の積極的な開発推進が求められている。


 このような中、水力エネルギーが賦存する市町村においては、水力開発を地域のエネルギー整備計画に盛り込むなど、事業化に向けた具体的な計画が推進され始めている。


 今後は、全国各地における水力開発が非常に重要となるが、地方公共団体においてはその経験が乏しいことから独自の計画・推進は難しい状況にある。


 本書は、地方公共団体の方々が、地域に水力発電所を開発される場合の手引きとして、調査計画段階から建設・保守に至るまで、一連の流れを実務的に分かり易く解説したものである。



□ハイドロバレー計画とは


 全国の市町村などの地方公共団体による自家消費型の水力発電所の開発計画を「ハイドロバレー計画」という。これは小規模の水力発電所を核として水力エネルギーを地域の特性に合わせて開発することでし地域振興に役立てようとするもの。

 ハイドロバレー計画では、農業用水や上・下水道、砂防えん堤など既設設備の未利用落差を有効活用することにより、自然に優しい経済的にも優れる発電所の開発が可能となる。

 開発に当たっては、国が設けた各種の促進制度や助成制度があり、これらを利用することにより初期投資の負担を軽減でき、稼働後は地域経済に大きく貢献する施設となる。



■まとめ


 「食料とエネルギーの地産地消」を考えるとき、小水力のポテンシャルは無視できるものではない。「ハイドロバレー計画ガイドブック」の目的は、地方公共団体が小水力利用を企画するときのガイドブックである。これを元に企画すれば様々な補助金が得られるなど、実現性がいっそう高まるのだ。




ハイドロバレー計画ガイドブック
http://www.enecho.meti.go.jp/hydraulic/data/dl/G02.pdf

1.概 要
1.1 目 的
水力発電は、二酸化炭素(CO2)を排出しないクリーンな自然エネルギーであり、積極的な
開発が求められているところですが、近年の電力自由化、国民一般の環境意識の高まりや必要
性の理解不足等の問題から、必ずしも円滑に進展していない状況にあります。
一方、我が国では1997年12月に開催された気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)の結
果(京都議定書:2005年2月発効)を受け、脱化石燃料化に向けた「新エネルギー利用等の促
進に関する特別措置法(RPS法)」が2003年4月施行されました。
化石燃料化に当たっては、分散型エネルギーである新エネルギーの導入を促進する必要が
ありますが、これらは、地域特性を十分に考慮して進めることが重要であり、その意味で地方
公共団体(市町村等)の果たす役割が大きく、地元主導の積極的な開発推進が求められていま
す。
このような中、水力エネルギーの賦存する市町村においては、新エネルギーとともに、自家
消費型の水力開発を地域のエネルギー整備計画(地域新エネルギービジョン策定等事業)に盛
り込むなど、事業化に向けた具体的な計画が推進され始めています。
今後は、エネルギーセキュリティの確保・地球温暖化防止等の観点から、全国各地における
水力開発が非常に重要となりますが、地方公共団体においてはその経験が乏しいことから独自
の計画・推進は難しい状況にあります。
本書は、地方公共団体の方々が、地域に水力発電所を開発される場合の手引きとして、調査
計画段階から建設・保守に至るまで、一連の流れを実務的に分かり易く解説したものです。
1.2 ハイドロバレー計画とは
全国の市町村などの地方公共団体による自家消費型の水力発電所の開発計画を「ハイドロバ
レー計画」といいます。これは、水力エネルギーを地域の特性に合わせて開発し、地域振興に
役立てようとするもので、小規模の水力発電所を核として地域の活性化や夢のあるふるさとづ
くりの一翼を担うものです。
ここでは、自前でつくる電力を利用(自家消費)することにより、地域の特色を活かした地
場産業の魅力が向上するとともに、新たな活力が生まれます。更に、CO2を排出しないクリー
ンエネルギーの開発により、地球環境問題の改善にも貢献します。
ハイドロバレー計画では、農業用水や上・下水道、砂防えん堤など既設設備の未利用落差を
有効活用することにより、自然に優しい経済的にも優れる発電所の開発が可能となります。
開発に当たっては、国が設けた各種の促進制度や助成制度があり、これらを利用することに
より初期投資の負担を軽減でき、そして、稼働後は地域経済に大きく貢献する施設となります。


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