未開発地点の豊富な水力 1


 「ハイドロバレー計画ガイドブック」のまとめを続ける。

 今回は「2.水力開発の現状と促進制度」の「2.2.5 未開発地点の豊富な水力」の“その1”である。



■まとめ


 日本の包蔵水力はどれほどあるのだろうか?

 平成16年3月末現在における我が国の一般水力の包蔵水力をガイドブックでは次のようにまとめている。



一般水力区分

地点数

最大出力(万kW)

年間可能発電電力量(MWh)

既 開 発

1,844

2,201

92,140,979

工 事 中

30

22

1,039,391

未 開 発

2,717

1,212

45,844,566

合 計

4,591

3,435

139,024,936


 【包蔵水力

  ある水系が持つ発電用水として利用することができる水力エネルギーの量

 【一般水力】

  自然力により水の位置エネルギーを得るもの


 ガイドブックでは日本の一般水力の包蔵水力を139GkMWhとしている。


 これはハイドロバレー計画に適用するような農業用水や上・下水道などを利用した小規模なものは含まれていないものとされている。



 ちなみに「小水力エネルギー読本」小水力利用推進協議会では下記の様な試算もある。



小水力エネルギー読本
小水力利用推進協議会

  日本の平均年間降雨量:約1.7m/年

  平均標高:394m

  エネルギー変換効率:52.5%(流出量75%×エネルギー変換効率70%)

  国土面積:37789920ha

  推計ポテンシャル:1343PJ/年(電力換算373TkWh)

水力エネルギーのポテンシャル
http://d.hatena.ne.jp/Farmers_Energy/20071020/1192544915




 結論としていえることは、国内の一般水力のポテンシャルを電力に換算すると、139GkMWh以上であるということは確実で、理論的には373TkWhとも言えるのだ。





ハイドロバレー計画ガイドブック
http://www.enecho.meti.go.jp/hydraulic/data/dl/G02.pdf

平成16年3月末現在における我が国の一般水力の包蔵水力は、表2.2.2に示すとおりです。


また、出力区分別にみた包蔵水力は、図2.2.4に示すように、未開発地点として中小水力の地点が多く残されています。
なお、この包蔵水力にはハイドロバレー計画に適用するような農業用水や上・下水道などを利用した小規模なものは含まれていないため、これらを考慮すれば更に増えてきます。



1 2 3 経過年数 → 40 年
発電原価
円/kWh 発電原価(補助なし)
〃 (補助あり)
減価償却完了
図2.2.4 出力区分別包蔵水力

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地域別に見た未開発包蔵水力は、表2.2.3に示すように東北経済産業局管内と中部経済産業局管内が多く、この管内で全体の約47%を占めています。