長期的に安定かつ低廉な水力


 「ハイドロバレー計画ガイドブック」のまとめを続ける。

今回は「2.水力開発の現状と促進制度」の「2.2.4 長期的に安定かつ低廉な水力」である。今回は本文が短いのでまとめだけを掲載する。



■まとめ


 本当に水力発電は長期に安定的で安い電源なのだろうか。まずは各電源別の発電単価を比べてみよう。下記は1kWh発電するのに要する費用と、その費用に含まれる燃料費の割合である。


 □電源(発電原価/燃料費割合)

  原子力 (9円程度/2割程度)
  LNG火力 (9円程度/5割程度)
  石炭火力 (10円程度/3割程度)
  石油火力 (10円程度/6割程度)
  一般水力 (13円程度/0)
  地熱 (16円程度/0)
  風力 (16円程度/0)
  太陽光 (67円程度/0)


 現在のところ原子力化石燃料による発電が安価であることは間違いない。しかし燃料費がゼロではないという事は持続可能性に疑問がある。


 一方、水力発電は土木工事等の初期投資が大きく固定資産税等の税制面でも不利であるため発電原価は高い。しかし、これらは施設の減価償却が進むほど有利となり、燃料費がゼロであるため発電単価は安定している。


 ブームである太陽光発電は、発電単価からみるとニッチ領域でしか生き残れないように思える。日本は太陽光発電に賭けるよりは、水力に注力した方が合理的であると思うのだがどうだろうか。




ハイドロバレー計画ガイドブック
http://www.enecho.meti.go.jp/hydraulic/data/dl/G02.pdf

.2.4 長期的に安定かつ低廉な水力

水力発電は、初期の発電原価(1kWh発電するのに要する費用)は高いものの、長期的に
は安定、かつ、低廉な電源です。表2.2.1に各種電源別の建設費用に対する初期の発電原価を示します。水力発電所の建設に当たっては補助金制度があり、仮に3割の補助金を投入すれば、発電原価は、

13円/kWh×0.7=9.1円/kWh

となり、他の電源と同程度又は低廉で、原子力発電や火力発電と遜色のない発電原価になります。

表2.2.1 電源別耐用年における初期の発電原価(発電端kWh当たり単価)

 また、水力発電の経過年数における発電原価の推移を示すと図2.2.3のイメージのようになります。なお、この図において、1年目より2年目の発電原価が高くなっているのは、固定資産税の課税の関係によるものであり、経過年数とともに発電原価が等差的に安くなっていくのは、のは、減価償却に伴う資産(資本費)の減少によるものです。

図2.2.3 水力発電所の発電原価の推移イメージ図