「食糧自給率」の向上は食糧危機を悪化させる!?

 池田信夫さんが「「食糧自給率」の向上は食糧危機を悪化させる」というエントリーをアップされました。



 「食糧自給率」の向上は食糧危機を悪化させる
 http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/aecf3bd14b60e49a2c37503d6778706d



 日本が食糧自給率を上げようが下げようがもはや「食糧危機」の増幅は避けられない、ということは池田さんも理解しているはずです。にもかかわらずこの様なエントリーをアップするということは、農業への無駄な補助金拠出を憎むあまり大きな世界情勢を無視しているか、または食糧価格高騰の責任を日本農政・農業に転じたいかのどちらかではないかと感じられてしまいます。


食糧危機に対応するために必要なのは、不可能な「自給自足」をめざすことではなく、食糧価格を安定させるためのリスク分散である。その基本は、供給源を特定の国に依存しないことだ。農産物の輸入を自由化して、なるべく多くの国から食糧を輸入し、一国で輸出制限や値上げが行なわれても他から輸入できるようにする必要がある。輸入を規制し、供給を日本国内だけに依存する「自給政策」は、食糧危機を増幅する最悪の国家戦略である。

 という池田さんの結論はいかがなものかと思います。



 世界人口の増加、エネルギー価格の上昇、物流コストの上昇、肥料価格の上昇、そしてナショナリズムの台頭。ピークオイル、ピーク・リン、ピーク・ウォーターでピーク・フード。資源と食糧の奪い合いでナショナリズムがフィーバー。言葉は滅茶苦茶ですが、こういった流れはどう考えているのでしょうか。



 「食糧危機」が増幅しないシナリオなどあるのでしょうか。今後「食糧危機」が増幅したときに「日本の農政が悪かったからだ!」とか言いうのでしょうか。こんなの誰が悪いという話ではなく、世界的な現象なのだと思うのですが。




 あと、資源・食糧・エネルギーに関しては、“自由貿易推進でハッピーに”という方向の話は20年前なら良かったのだろうけれども、もはやユートピアを語っているようにしか聞こえないので、そろそろ控えた方がいいのではとも思います。