今後、国家は雇用確保競争に走らざるを得ない


 オバマ米国大統領の2011年の一般教書演説について注目すべき点に雇用問題がある。まずオバマ大統領が一般教書演説で「雇用」に触れた個所をリストしてみる。

 現時点での問題は、誰が次の選挙で当選するかではなく、新たな雇用と産業がこの国に定着するか、他のどこかの国に定着してしまうかということだ。

 世界は変化している。中国やインドのような国が変革を遂げ、新しい世界で競争している。雇用を巡る競争は確かに存在するが、落胆すべきでない。米国は今も世界で最も繁栄した国だ。

 だが、研究と教育への投資の結果、我々はソ連を打ち負かしただけでなく、新規産業と数百万の雇用を生み出す技術革新を実現した

 我々は生物医学分野の研究、情報関連技術、特にクリーンエネルギー関連技術に投資する。これらの投資は地球を守り、米国民に無数の雇用を生み出す

 米国のインフラの等級は「D」ランクだ。我々は過去2年、痛手を受けた建設業界に何千人もの雇用を生む計画を始めた

 2014年までに輸出を倍増する目標を設定する。最近、米国人の雇用25万人以上を支える合意をインド、中国と締結した。先月には、少なくとも7万人の雇用を支える韓国との(自由貿易)協定を決着させた。私は就任前、国民の雇用につながる協定のみに署名する立場を明確に示したが、それが韓国と結んだ協定であり、アジア太平洋(地域)と続けている貿易交渉だ。


 つまり、「中国やインドのような国が変革を遂げ、新しい世界で競争している」なかで「雇用を巡る競争は確かに存在」し、技術への投資は「米国民に無数の雇用を生み出す」ためである。また、インド、中国、韓国との通商条約は「国民の雇用につながる協定のみに署名する立場を明確に示し」たうえでのものであり、TPP交渉も同様なのである。


 世界人口の増加局面が続き、若者の就職先が不安視されるなかで、国家は国内の雇用を確保する競争を行わなければならなくなっているのだろう。雇用問題の対処を誤ると、チュニジアやエジプトのように国家が不安定になる … うひ〜


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