渡邉信筑波大教授、オーランチオキトリウムを語る。
すごいですね〜 「オーランチオキトリウム」での1日の訪問数が600を超えてきました。もちろんこの傾向は当ブログだけではないと思われ … 藻類がこんなに注目を集めたのは本邦初ではなかろうか。
さて昨日は、渡邉信筑波大教授が「ボトリオコッカス」について語る動画のポイントをまとめました。これにより藻類によるオイル生産のポイントが把握できたかと思います。
オーランチオキトリウムについて
http://d.hatena.ne.jp/Farmers_Energy/20110124/p1
今日は渡邉信筑波大教授が「オーランチオキトリウム」について語ったインタビュー記事のポイントをまとめてゆこうと思います。
藻類が世界を変える
TSUKUBA SCIENCE
http://tsukubascience.com/seibutsu/sourui_ga_sekai_wo_kaeru/
■陸上植物由来バイオエタノールの問題点
陸上植物(コーン等)の利用は食糧価格高騰の一因となる。
また陸上植物のオイル生産能力は 年間0.2-6t/1ha しかない。
バイオ燃料の問題点
http://d.hatena.ne.jp/Farmers_Energy/20071216/p1
■藻類によるオイル産生
沼や田に油が浮いているのは藻類が作った油。
石油も藻類が作りだしたもの。
現時点ではオイルをつくる出す藻類は数十種類知られている。
藻類のオイル生産能力は年間40-140t/1haと比較的高い。
■研究と課題
藻類からオイルを採取する研究は1980年代から始められている。
試験管内では簡単に培養させることはできるが工業的に培養すると…
・他の微生物がたくさん増える
・培養 速度が遅くなる
といった問題が生じる点が課題。
渡邉信先生チームはボトリオコッカスの研究を進めていた。
ボトリオコッカスが産生するオイルは重油に相当する炭化水素であり使い道が広い。
弱点は培養時間が遅く、コストが1Lあたり800円程度となる。
■オーランチオキトリウム
オーランチオキトリウムは2009年に沖縄の海から採集してきた藻類200株のうちのひとつ。
「サイエンスと言うのは理屈を積み重ねていく話と偶然性・ひらめきによる場合があるよね。自然界でのスクリーニングは、理屈の世界ではない。この辺に行って、このへんならなんとかなるんじゃないの?というひらめきが大切。一生懸命頑張っていると、天の女神が微笑んでくれる時があるんだよね。今回は天の女神が僕に微笑んでくれた。」
■オーランチオキトリウムの特長
オーランチオキトリウムの特長は増殖スピード。
□オーランチオキトリウムの倍加時間
10℃:12.0時間
20℃: 4.2時間
30℃: 2.1時間
オーランチオキトリウムはボトリオコッカスと比べるとオイル生成量は1/3だが36倍の速さで増殖する。ゆえにオーランチオキトリウムのオイル生産効率は単純計算でボトリオコッカスの12倍となる。
■光合成
ボトリオコッカスなど多くの藻類は太陽光を利用して光合成を行う。
一方、オーランチオキトリウムは有機物を取り込む従属栄養藻類で太陽光は必要でない。
■工業化(有機排水処理)
オーランチオキトリウムの培養は実験室内ではグルコース(ブドウ糖)を使用。
工業的利用を考えた場合には、グルコースではコストが高すぎる。
通常、下水等の有機排水はバクテリアの塊を投入して浄化処理を行う。バクテリアの代わりにオーランチオキトリウムを投入、有機排水中の溶存有機物を使いオイルを生産する。オーランチオキトリウムによって処理された有機排水には窒素とリンが大量に残っている。これにボトリオコッカスを投入、ボトリオコッカスは窒素とリンを取り込みオイルを生産する。オイルを採集した後のオーランチオキトリウムやボトリオコッカスは動物の飼料とすることもできるしメタン発酵に利用することもできる。
■石油の代替性について
オーランチオキトリウムとボトリオコッカスが生産するオイルは容易に燃料化することが可能。また既存の石油会社が持っている技術を利用すれば化学製品の原料にすることも可能。
■実用化について
オーランチオキトリウムによるオイル生産の実用化は10年後(2021年)を目途。
ただし実用化にあたってはプラントレベルでの実験が必要。
国家レベルの投資が求められている!!!!!!!!!!
★提案
沖縄の下水処理施設でプラントレベルの実験をしたらどうだろうか。
沖縄なら水温も高いだろうし、沖縄の産業促進策にもなるだろうし。
オーランチオキトリウムの故郷でもあるしね。
民主党さん、沖縄対策や政権浮揚策にもなるかもしれませんよ。
■関連記事