貧困への注目と高齢者

 「2008/09-2009/02 貧困への注目と農業」の続きです。



 高齢者からお金を奪う詐欺や事業が社会問題化している。代表的な例としては「振り込め詐欺」や「悪質な介護つき住宅」などがある。


 これらは日本の人口構成(「日本人はどこまで減るか」に詳しい)を背景として、高齢者が著しく有利で現役世代が著しく不利である社会保障のあり方(「だまされないための年金・医療・介護入門」に詳しい)が誘発している社会問題だろう。



日本人はどこまで減るか―人口減少社会のパラダイム・シフト (幻冬舎新書)

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 高齢者からお金を奪う詐欺や事業は、高齢者が現役世代から社会保障費として搾取している現金を、現役世代が暴力的に奪い返している構図であるとはいえないか。


 貧困層に落ちる可能性を強く感じる現役世代の人間が、年金や介護保険などの給付を受けている高齢者から暴力的に金を奪うことを考えることは避けられない。


 日本の人口構成と高齢者が著しく有利で現役世代が著しく不利である社会保障のあり方を考えるとき、高齢者から現役世代が現金を暴力的に搾取する問題は、今後さらに悪化するだろうということは火を見るより明らかである。


 これらは「振り込め詐欺」や「悪質な介護つき住宅」を摘発するだけでは解決しない。人口構成の修正には時間がかかる以上、修正すべきは社会保障のあり方であろう。現在の社会保障のあり方では、若者ほど老人を搾取の対象と考えるのは避けられない面がある。


 一方、農村では地域社会や家制度を強めるなどして、世代間格差をスムーズに解消できる可能性があるが、それはまたの機会に。


 つづく … かな