小水力発電の電力買取価格をせめて太陽光パネルの半額に引き上げて


 「小水力利用への注目が下がっている」のではないかと心配になっていたのですが、すごくよい記事が見つかりました。地方では注目されつつあるのですね。


自然に優しいエネルギーだけん…ミニ水力発電、今も活躍 asahi.com
http://mytown.asahi.com/areanews/shimane/OSK201105120101.html

 中国山地にはかつて、農業用水などを使った小型の水力発電所が数百カ所もあった。大半は閉鎖されたが、島根県奥出雲町には今も活躍する発電所がある。福島第一原発事故でエネルギー議論が高まる中、半世紀前の施設の運営を続ける住民は、自然エネルギーの自給の大切さを実感している。

 三沢地区にある三沢小水力発電所(出力90キロワット)は、砂防ダムの水を引き、民家ほどの大きさの建物に設置された発電機で約100世帯を賄える電力を作り出している

 維持管理は電力会社OBの住民が助言し、管理人が熱心に見回って水路の落ち葉などを掃除している。元役場職員で運営委員長を務める森山富夫さん(63)は「三沢地区は、特にまとまりが強くてまじめな人が多いから運転してこられたのでしょう。発電所がもたらすお金が地域のまとまりを作ってきた面もあると思います」と話す。

 ただ、現在の発電機が壊れたら機器を更新することは難しい。物価上昇で労働者の平均賃金が半世紀で約20倍になる中、電力会社による電力の買い取り価格は、1キロワット時3円50銭から8円(約2.3倍)にしかなっていないからだ。

 森山さんは昨春、約400万円かけて自宅に太陽光発電装置を導入した。国の政策で1キロワット時48円の買い取り価格が10年間保証されているため、十数年で元が取れる計算という

 〈小型の水力発電所〉 出力1千キロワット以下の小規模水力発電は、1950年代には中国地方で約600カ所、県内に約100カ所あった。中国小水力発電協会の加入施設だけでも、55年ごろは約90カ所あったが、現在は52施設(県内は10)。中国電力管内で約2万世帯分の電力を供給しているが、「電力の買い取り価格が上昇しなければ10年以内に、さらに半減する」と協会はみている。


 この記事は小水力発電の現状と特長をよく表している。


 小水力発電は1950年代に普及可能だったことから分かるようにクラシックなローテクである。一旦、普及したものが衰退したのは電力会社による買取価格が8円程度/kWhだったからだ。ちなみに太陽光パネル発電の余剰電力買取価格は記事にあるとおり40円/kWh以上である。小水力発電の電力買取価格をせめて太陽光パネルの半額にしてくれれば、現在でも小水力は普及するはずである。


 逆に言えれば太陽光発電はそれだけ“高い”のだ。しかも出力は不安定だし…


 また小水力発電は中山間地域やコミュニティレベルでも管理できることが利点だ。中山間地域に視点を移すと、エネルギーを外部に依存することはその地域からの所得流出となる。中央に搾取されているわけだ。小水力発電は所得を地域内部にとどめる効果もあるので、その地域の永続性に寄与するだろう。これも記事に表れている。


 この記事にあるような事例が増えるよう、小水力発電による電力買取価格を、せめて太陽光パネルの半額に引き上げてほしいものである。地方は、食料とエネルギーと日本人の生産拠点と位置づけ、政治的に永続性を確保すべきだと考えるが、小水力発電で発電した電力の買取価格を太陽光発電の半額程度に引き上げることはそれに寄与すること間違いなしである。