TPP地方説明会、情報不足が問題に


 政府はTPPを推進するために地方説明会を開いている。しかし、情報不足から、市民の納得を得ることは難しい状況となっているようだ。


  TPP推進で初の地方説明会 政府に厳しい質問続く
  http://news.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/210305039.html

 環太平洋経済連携協定についての初の地方説明会が金沢市で開かれ、参加の必要性を強調する政府に対して会場からは厳しい質問が相次ぎました。

 海江田経産大臣:「(TPPに参加しても)医療保険そのものについて、(崩れるのではないかなど)そこまでご心配かけるところはない」「(Q.それは断言できるんですか)今の段階では、そうです」
 説明会には、石川県や富山県から200人が出席しました。TPPに参加した場合、医療や保険など生活に影響が出るかといった質問が相次ぎました。政府側は、「情報を収集している」「交渉ごとなので出せない情報もある」という答えを繰り返しました。交渉の中身は見せたくない政府側と情報不足にイライラする住民という構図は、今後のフォーラムでも繰り返されそうです。

 日本は、交渉当事者ではないため「交渉ごとなので出せない情報もある」というのはその通りだろう。しかし、事前にTPP反対論が盛り上がりをみせており、情報不足を背景として憶測、または極論が広がっている状況では、正確な情報なしに市民の説得をすることは困難だろう。


 日本がTPPに参加する目的は工業製品やサービスの輸出拡大なのは明らかだが、輸出産業に従事している人間が少ない地域では、TPPによる不利益に注目が集まるのは自明であろう。さらに、具体的な輸出拡大策も語られない現状では、本来味方となるべき層の取り込みにも失敗しかねない。


 TPP参加の是非については私も情報不足から判断保留の状態から進むことができていない。これは政府の問題もあるが、報道の機能不全という面もあるのではないか。政府が自国が参加していない通商条約の交渉内容を政府が明らかにできないのは理解できる。その穴を埋めるのは本来報道の役割だと考えるが、この件については報道がオリジナルの情報を明らかにした事例は無いようだ。



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