スマートグリッドをフューチャリスト的に語る

 インターネットは文化・文明に影響を与えました。同様にマイクログリッド(スマートグリッド)が文化・文明に対し、どの様な影響を与えうるのかも興味深いところです。


 というわけで少し考えて見ましょう。


 現段階では、スマートグリッドが文化・文明に対し与える影響については、フューチャリスト的に語るべきだと思うので、「スマートグリッドにより地方の自立が推進される」という切り口で語ってみたいと思います。



スマートグリッドの意義



 スマートグリッドの普及は離島や中山間村などの末端から設置される。その管理は、広域系の電力会社ではなく、その地域の小さなエネルギー会社と自治体が共同して担うべきである。


 都市とは違い離島や中山間村は、安いからといってエネルギーを地域外からの調達だけに頼るのは危険である。それは地域外への所得流出であるからだ。都市部のように、所得流出に見合った流入が見込めるのであれば問題はないが、離島や中山間村の場合、都市ほどには経済性が高くないため、地産できるものは地消し、所得流出を抑える防御的な姿勢が重要となる。


 もちろん、特産品販売や観光収入によって地域外からの流入拡大を図ることは大事だ、しかし地方は、その地域の永続性を考えるならば、地域内での貨幣運動を活発にして自前で社会基盤を強化する事をまず考えるべきだ。


 スマートグリッドは、エネルギーの地産地消を実現する技術という面で期待したい。食糧の地産地消、エネルギーの地産地消を実現する事によって、離島や中山間村を含む地方の自立を促したい。


 スマートグリッドを運営する企業は、地方に任せるべきだ。もちろんすぐには無理だが、30年程度をかけて、その地域のエネルギー企業を育成してゆくべきである。


 今後、必要な政策とは、離島や中山間村といった地方において、スマートグリッドや食糧生産インフラを公的補助の下で整備し、運営企業を育成し、地域社会が存続できる基盤を構築することだろう。公共事業の本質とはそういうことではないのか。


 そして地方の中央依存という現在の文化・文明に終止符を打つべきである。


 一方、都市部では世界中の貨幣を引き付ける施策が必要となるだろう。自由貿易を推進すべきだし、コスト面で有利なエネルギー源を世界中から調達するべきだし、それらのためのインフラ整備を活発に行うべきだ。都市部は、原子力発電などの大規模発電施設からの電力供給を受けた方が経済的であり、スマートグリッドの需要は少ないのではなかろうか。


 とにかく今後の国家内政の要点は事は、都市と地方の運営を分け、自由貿易と地産池消のバランスを図る事であろう。


 スマートグリッドは、地方がエネルギーを地産地消する基盤となってほしい。その為には地域特性や多様性が重要で、何より大切なのは地方が自分で運営するという事である。「10離島でのスマートグリッド実証実験」においても、最終的に各島は法人を設立した上で自分たちでスマートグリッドを運用することを期待したい。もちろん各島の協力体制は必要だが、基本は自立的なエネルギー・システムを自前で運用できるようになることが大事だ。


 スマートグリッドが文化・文明に対し与える影響とは、省エネ・効エネの促進というよりも、地方の自立を強化することだろう。



 ということで、どうでしょう?