地球環境イニシアティブのシンポジウムに参加 2
「地球環境イニシアティブのシンポジウムに参加 1」の続き。
「固定価格買取制度」で太陽光発電のみを推進する理由
そもそも「固定価格買取制度」で発電原価の高い太陽光発電のみを推進するのはなぜだろう?
1kWhの発電原価と燃料費割合は下記の通り。
□電源(発電原価/燃料費割合)
原子力 (9円程度/2割程度)
LNG火力 (9円程度/5割程度)
石炭火力 (10円程度/3割程度)
石油火力 (10円程度/6割程度)
一般水力 (13円程度/0)
地熱 (16円程度/0)
風力 (16円程度/0)
太陽光 (67円程度/0)
長期的に安定かつ低廉な水力
http://d.hatena.ne.jp/Farmers_Energy/20071116/p1
注)数字が古いので現在では太陽光はもっと安いと思う
なぜ経産省が燃料費割合がゼロの「更新性資源」のうち発電原価が一番高い太陽光発電を「固定価格買取制度」の対象にしたかというと、産業育成と雇用創出といった公共事業的側面が強いと思われる。
太陽光発電が普及した後には発電原価は半分以下になると想定されている。また太陽光の設置、およびメンテナンス事業は人材がダブついている建設業の新たな収益源に期待されている。
これまで推進されてきた原子力は発電効率が良すぎて雇用人数が少なすぎるのが難点。要するに原子力では景気対策にならない。
国や経産省は、基本的に税金投入ゼロ、制度設置のみで“グリーンニューディール”が実施できる「固定価格買取制度」がスマートであると考えている。「固定価格買取制度」については、これまでは東京電力などの電力事業者の反対で実現しなかったが、柏崎刈羽原発の事故、前年の石油高騰、世界金融危機を背景に業界の反対を押し切ったかたちだ。
これまで国が推進してきた原子力の原価(9円程度)は「理想的な条件」が整ったときの数字だと思われる。柏崎刈羽原発の事故や、プルサーマル計画の進展状況などをみると、本当はもう少し高いのではないか。
小水力がいいけれど太陽光発電もありだな
やはり日本は、農業との相性から小水力を推進するべきだと考える。しかし、国に金がないなかで産業育成、雇用創出という景気対策を目的とした公共事業を行うには「固定価格買取制度」を実現して太陽光発電を推進するのは悪くないと思う。