「なぜ水力か」洞口幸男氏 2


 「コミュニティ・エネルギーの可能性を探る」(J-WatER)の内容まとめてゆく。まずは「なぜ水力か」と題した洞口幸男氏(群馬県企業局長)氏の講演から。



□これまでの関連記事



  「なぜ水力か」洞口幸男氏 1
  http://d.hatena.ne.jp/Farmers_Energy/20080224/p1


  「コミュニティ・エネルギーの可能性を探る」(J-WatER)に参加
  http://d.hatena.ne.jp/Farmers_Energy/20080223/p1



□中小水力はなぜ普及しないのか?


 洞口幸男氏(群馬県企業局長)の講演で重要なポイントは「中小水力はなぜ普及しないのか?」という問いへの考察であった。この問いは、会議全体のテーマのひとつともなる重要なものである。太陽光や風力に比べ、出力の大きさ安定性、歴史など様々な面で優る中小水力が普及しない理由はどのあたりにあるのだろうか。


□中小水力が普及しない主な理由


 中小水力が普及しない主な理由として下記が上げられた。


 ・初期投資が大きい

  施設建設などの必要から初期投資が大きくなる。

 ・長期資本回収

  短期には初期投資分を回収できない。

 ・規格の不統一

  規格がまちまちで様々な面でコストが高くなる。

 ・諸手続きが複雑で許可に時間がかかる

  法的手続きが複雑であり、許可にも時間がかかる

 ・売電単価が安い

  太陽光などに比べて売電単価が低く抑えられてしまう

 ・国の補助が弱い

  太陽光などに比べて国の補助が弱い


 などが上げられた。


バカの壁


 中小水力が普及しない主な理由として上げられている点を見てゆこう。確かに中小水力については初期投資は大きいが、設置してしまえばあとはローコストで長期に安定して発電できる。規格の不統一、諸手続き、売電単価が安いなどは人間側の問題である。少なくとも燃料代もかからない国産のエネルギー源を開発しない理由にはならない。


 洞口氏はシンポジウム中、中小水力が普及しない最も大きな理由は「バカの壁」が色々な所にあるからだと喝破していた。まったく同感である。


つづく