食糧は金を出しても買えなくなる?

 世界の反対側からエネルギーや食料を輸送してもソロバンが合うような自由貿易がどこまで続くかは疑問だし、餓死する国民がいるような国から食糧を金で買い叩くのは寝覚めの悪い行為でもあるので、ある程度自国の食料自給率は上げといた方がよいと私は思う。


 しかし経済に明るい人々は、日本の食料輸入が滞るようなことは考えられないから食料自給率を問題にすることから意味がないという考えらしい。


 農水省は「(食料は)『金を出せば買える』時代ではなくなりつつある」として「厳しい食料環境を消費者が認識する必要性を強調」しているが、経済に明るい人たちにとってこの意見は、競争力のない国内農業保護を目的とした戯言扱いされるのだろう。



世界的な穀物争奪に危機感を=食料安定供給へ課題提示−農水省
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2008011500410

 農水省は15日開いた「食料の未来を描く戦略会議」(座長=生源寺真一・東京大学大学院農学部長)で、食料輸入国である日本の安定的確保のために、消費者や農業生産者などが取り組むべき課題を提示した。世界的に穀物などの食料争奪戦が激化する中で、60%以上の食料を海外からの輸入に依存する日本は将来、安定的に食料を確保できない恐れもある。同省は、国民が国内外の食料環境に危機感を持つことで、40%を切った自給率回復に向け、コメを中心とした日本型食生活の推進など国民運動につなげたい考えだ。
 温暖化など気候変動による収穫量の変化やバイオ燃料の需要拡大、中国やインドなど途上国の急成長で小麦や大豆などの穀物需要が高まっており、世界的に奪い合いの様相を呈している。また、生産国の一部では輸出規制をかける動きも出ており、同省は「『金を出せば買える』時代ではなくなりつつある」として、こうした厳しい食料環境を消費者が認識する必要性を強調している。

 石油やレアメタルなどの資源は産出国の発展のために有効に使われつつあり、この様な動きは資源ナショナリズムと呼ばれているようだ。近い将来には食糧でも同様の動きが強まり、食糧ナショナリズムと呼ばれているかもしれない。そんな側面からも食料自給率を上げておくことには意味があると思うのだが、どうなのだろうか。



 あと、経済優位の現代でこんなことを言うとバカにされるが、「食」というものは経済合理性だけでは計れないんだろうと思う。日本に住む日本人は、基本的には日本で作りとれたものを食べていることが正道だろうと私は信じている。特に理由はありません。信じているだけですが。



 農家と食料自給率
 http://d.hatena.ne.jp/Farmers_Energy/20080114/p1