小水力利用推進協議会が「新エネ法施行令の改正案」にパブコメ提出

□事象


 小水力利用推進協議会は7日、新エネ法施行令の改正案についてパブリックコメントを提出した。


 昨年12月に公示された新エネ法施行令の改正案では利用促進対象に千キロワット以下の水力発電が追加されたが、その条件に「かんがい、利水、砂防その他の発電以外の用途に供される工作物に設置される出力が千キロワット以下である発電設備を利用する発電に限る。」という制限が設けられているため、この修正を求めたもの。


 小水力利用推進協議会のパブリックコメントは下に表示。



■まとめ


 新エネ法施行令の改正案に記載されている小水力の制限は下記の通り



 新エネ法施行令新旧対照表
 http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1030&btnDownload=yes&hdnSeqno=0000032130

水力を発電(かんがい、利水、砂防その他の発電以外の用途に供される工作物に設置される出力が千キロワット以下である発電設備を利用する発電に限る。)に利用すること


 単に「水力を発電(千キロワット以下の発電設備を利用する発電に限る)に利用すること」ではダメなのだろうか?




新エネ法施行令改正へのパブリックコメント
小水力利用推進協議会からのお知らせ
http://energy-decentral.cocolog-nifty.com/mhp02/2008/01/post_7387.html

水力発電普及促進の観点から以下の修正が必要と考えます。

(1) 第一条第九号の定義を拡大する必要性
 第一条第九号の定義のうち、かんがい、利水のための工作物は、流域全体の標高差の中でかなり下の方(典型的な地形で言えば、扇状地の扇の要付近か、それより下流)に設置されることが多いため、上流側の落差が利用できず、流域のポテンシャルの2割程度、あるいはそれ以下しか利用できないものと推測されます。
 一方、砂防堰堤・治山堰堤等の工作物はその上流側に設置されるものですが、発電に適した落差が得られる地点であっても、それらの工作物が設置されていない場合も少なくありません。
 従って、既存の工作物が設置されていない地点(渓流等)であっても、出力千キロワット以下の発電所に関しては新エネルギーに含めるべきです。

(2) 第一条第九号の定義を修正または補足すべき点
 渓流から取水する小水力発電所の場合、取水口から数百メートルないし2・3キロメートルの水路を通すことで落差を大きくし、出力を大きくすることが一般的に行なわれており、これは経済性の面からも、利用エネルギー量を大きくしエネルギーセキュリティーや温暖化防止に貢献する面からも、重要なことです。したがいまして、既設の工作物(砂防堰堤・治山堰堤等)を利用して取水し、このような水路を経て発電する設備に対しては、当然第一条第九号を適用すべきです。
 一方、第一条第九号の「・・・工作物に設置される」という文言は、日常の言葉として理解する限り必ずしもそのようには読めないので、上記のような設備に明確に適用されるよう修正すべきです。
 あるいは、もし「・・・工作物に設置される」という文言のままで上記のような場合に適用されるものとするのであれば、政令の本文でなくとも、なんらかの公的な文書においてその旨を明確にすべきです。小水力発電事業は、関連法規が多く計画段階での負担が大きいので、法令解釈に関する不確実性を極力排除することが普及促進上重要です。

(3) 第一条第九号の定義を拡大、または補足すべき点
 発電用ダムにおいても利水放流や維持放流が行われており、とくに近年は河川環境の観点から維持放流の流量を大きくする傾向にあります。したがって、発電用ダムの利水放流水・維持放流水を利用した発電にも第一条第九号を適用すべきです。
 利水放流・維持放流のための工作物(発電用ダムに設置される工作物)は「発電以外の用途に供される」と解釈されるのかもしれませんが、そうであれば(2)と同様、公的な文書に明記すべきです。