日本人はどこまで減るか
「日本人はどこまで減るか」(古田隆彦)幻冬舎新書を読んだ。
昔から人口の話が好きである。日本の人口は2004年末に1億2780万人でピークに達した後に減少に転じている。これは日本の人口が“人口容量”に達したから減少に転じたのだ、というのが著者の指摘である。
私も同感だ。
産業革命での人口容量の増大は劇的だったが、日本の人口容量は1億2780万より少ないのではないかと思える。今後、「小産多死化」で人口は減少するが、日本の人口容量を維持しておけば、人口容量に余裕が出る頃には産と死の比率が逆転して人口が増加に転じるだろう。
面白いのは人口容量の上限がくると様々な要因から「小産」に誘導されることである。書籍では江戸時代中期と中世末期の事例があげられているが、現代日本にも当てはまる。
人口容量に達した人口を一定に保つために、まず文化・文明レベルでの仕掛けが発動する。人口容量が一定の社会は、構成員の生活レベルを維持するために非婚化、晩婚化、出産間隔の延長、間引きなどが行われて人口が一定に保たれる。
今後日本は人口容量に余裕ができるまで、この様な調整局面が続くだろう。それは非婚化、晩婚化、出産間隔の延長、間引きなどが行われ、出生数が絞られるということである。
その後、日本の人口容量に余裕が出はじめると徐々に出生数が回復する。その頃には死亡数も減少してくるため、人口は回復に向かうだろう。しかし著者によるとそのタイミングは今世紀末と試算されている。
また歴史的にみて、人口の再生産率がプラスに転じた都市はないらしい。農村で余剰となった人口を都市が消費するのが基本的なスタイルである。現代日本は都市化が進み、農村が疲弊しているため、人口が増加するわけがない。都市住民向けの小子化対策が有効に機能するかは大いに疑問である。
ここで今世紀末までの日本を大胆に予想してみよう。
今世紀前半は都市化や小産多死化が目立つが、底流で農村の回復が始まり、農村での人口の再生産率の上昇が現れるころには都市の縮小が始まるのではないか。
農村については、農村構成員が減少するも生産レベルを維持することで、農村の人口容量に余裕が生まれ、人口再生産率が上昇するだろう。この時、もし農村構成員の減少に比例して農業の生産レベルを落としてしまうと農村は縮小再生産へと向かう。ポイントは生産レベルの維持である。今も昔も、農業の若き担い手こそが国の土台であるということだ。
都市は、生産レベルが上昇しないにもかかわらずしばらくは人口増加が止まらない。したがって都市住民の大多数は緩やかに貧しくなってゆく。しかし各自が生活レベルを保とうとするために非婚化、晩婚化、出産間隔の延長、間引きがさらに進む。これは都市の人口容量に余裕がでるまで変わらない。
…
自分の子供は農村エリアでのびのび育てたいと思う。
日本人はどこまで減るか―人口減少社会のパラダイム・シフト (幻冬舎新書)
- 作者: 古田隆彦
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2008/05
- メディア: 新書
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