RPS法の概要 RPS法創設の背景


 「ハイドロバレー計画ガイドブック」のまとめを続ける。

 今回は「2.水力開発の現状と促進制度」の「2.3.1 RPS法の概要」の“その1”である。


 日本で新エネルギーを語る上で外せないRPS法とはなにか、その概要が「ハイドロバレー計画ガイドブック」でもまとめられている。その内容を順に見てゆく。




□RPS法創設の背景


 新エネルギーの導入は主に「国産エネルギー資源」「環境負荷の少ないクリーンエネルギー」という面で望まれている。しかしその導入には解決しなければならない課題が多い。政府が2002年6月に策定した新エネルギー導入目標では、2010年までに新エネルギーの割合を3%まで高めることとしている。しかしこの目標達成は容易ではない。

 これまでも新エネルギー促進法制定等の法的整備や各種導入支援策の実施、また電気事業者における太陽光発電の余剰電力買取やグリーン電力基金制度の推進など、さまざまな取り組みが行われていた。

 このような自主的な取り組みから一歩踏み込み、電気事業者に毎年一定量の新エネルギー等の利用を法律で義務づけることで新エネルギーの市場拡大を図り、その普及を促進することを目的にRPS法が制定・交付された。






ハイドロバレー計画ガイドブック
http://www.enecho.meti.go.jp/hydraulic/data/dl/G02.pdf

2.3 水力開発をめぐる最近の動向
2.3.1 RPS法の概要

新エネルギーの市場拡大を図り、その普及を促進するため、2002年6月7日、RPS法
(Renewables Portfolio Standard)が制定・交付され、2003年4月1日に施行されました。
その概要は、以下のとおりです。

(1) RPS法創設の背景
新エネルギーは、資源の乏しい我が国において貴重な国産エネルギー資源であり、エネル
ギー供給源の多様化に資するものとしてその普及拡大への期待が大きく、環境負荷の少ない
クリーンエネルギーとして、近年は特に地球温暖化対策への寄与の観点から、地球レベル・
市民レベルにおいて導入の機運が高まっていました。
しかしながら、新エネルギーの導入は、経済性、出力安定性、効率性等について、解決し
なければならない課題が多く、我が国のエネルギー総供給に占める割合は僅か1.2%に留ま
っています。
政府が2002年6月に策定した新エネルギー導入目標では、2010年までにこの割合を3%ま
で高めることとしていますが、これから2010年までの間に現在の約3倍の量を導入しようと
する目標の達成は決して容易なことではありません。
これまでも、政府における新エネルギー促進法制定等の法的整備や各種導入支援策の実施、
また、電気事業者における太陽光発電の余剰電力買取やグリーン電力基金制度の推進など、
さまざまな取り組みが行われていました。
このような自主的な取り組みから一歩踏み込み、電気事業者に毎年一定量の新エネルギー
等の利用を法律で義務づけることにより、新エネルギーの市場拡大を図って、その普及を促
進するためRPS法が制定・交付されました。
(2) RPS法の目的
エネルギーの安定供給に資するため、電気事業者による新エネルギー等の利用に関する措
置を講じて環境の保全に寄与し、国民経済の健全な発展に資することを目的としています。
(3) 利用目標及び対象エネルギー
経済産業大臣は、総合資源エネルギー調査会及び環境大臣その他関係大臣の意見を聴き、
「新エネルギー等電気」の利用目標を定めています。
ここで、「新エネルギー等電気」とは、風力、太陽光、地熱、水力(水路式で1,000kW以下)
及びバイオマスにより発電された電気をいいます。
また、「新エネルギー等」となっているのは、いわゆる新エネルギーである風力、太陽光、
バイオマス等のほか、我が国における新エネルギーの定義より広義の再生可能エネルギー
分類される水力と地熱も対象としているからです。

(4) RPS法の流れ
RPS法の全体の流れは図2.3.1に示すとおりです。

(5) 利用義務 (図2.3.1の?)
経済産業大臣は、利用目標を勘案し、電気事業者(一般電気事業者、特定電気事業者、特
定規模電気事業者)に対して、毎年度、その販売電力量に応じた一定割合以上の新エネルギ
ー等電気の利用を義務付けています。
(6) 義務の履行 (図2.3.1の?)
電気事業者は、新エネルギー等電気の利用の義務履行に際し、
? 自ら発電する。
? 他から新エネルギー等電気を購入する。
? 他から新エネルギー等電気相当量を購入する(肩代わりさせる)。
のなかから経済性その他の事情を勘案して、最も有利な方法を選択することができます。
電気事業者の義務履行の確認方法については、経済産業省令で定めており、経済産業省
開設される電子口座を活用することになっています。
(7) 設備認定 (図2.3.1の?)
新エネルギー等電気を発電し、又は発電しようとする者は、当該発電設備が基準に適合し
ている旨の経済産業大臣の認定を受けることができます。
政 府(電子口座の管理)
新エネルギー等
発電事業者
?設備認定
?電子口座上
に記録
?新エネルギー等
電気の利用義務
付け
?新エネルギー等
電気量の届出
?電気販売
?義務履行確認
・電気事業者は、新エネル
ギー等電気相当量により
義務履行可能。
・電気事業者は、新エネル
ギー等電気を利用する
(自ら発電し、又は他者か
ら購入する)ことにより、
義務履行可能。
電気事業者A
電気事業者B
最終消費者 ?電気販売
?新エネルギー等電気
相当量(コスト回収)
注)
注)電気販売と新エネルギー等
電気相当量の販売は、一体
又は分離して別々の事業者
に対して行うことが可能。

  • 2-8 -

設備の認定は、各地方の経済産業局が当たり、
? 発電設備が、新エネルギー等電気の販売量(利用量)を的確に計量できる構造で
あること。
? 発電方法が、新エネルギー以外のエネルギーとのハイブリット発電の場合に、
発電量に占める新エネルギーの比率を的確に把握・記録できる方法であること。
再生可能性が確保されていること。
が認定基準となっています。
また、バイオマスを利用する発電設備の認定に際し経済産業大臣は、予め、農林水産大臣
国土交通大臣又は環境大臣と協議を行うことになっています。
(8) 勧告及び命令
電気事業者が正当な理由なく義務を履行しない場合に、経済産業大臣は、期限を定めて、
義務を履行すべき旨の勧告、又は命令をすることができることになっています。